コーチングを受けるメリットには、自身に合った目標達成に役立つ考え方や視点を発見できる点などがあります。また、自走して成果を出し続けられる能力を身につけることも可能です。コーチングを受ける際の流れやサービスの選び方、費用の相場、事例をわかりやすく解説します。
コーチングを受けるべき人・状況とは
以下3つの状況にある方は、コーチングを受けるべきと言えます。
- 現状に不安や悩みを抱えている
- 今後の明確な目標やキャリアビジョンが定まっていない
- 強みや得意分野が不明瞭となっている
詳しく見ていきましょう。
現状に不安や悩みを抱えている
不安や悩みの多くは、現状と理想のギャップにより生まれます。
コーチングを受けることで、現状や理想を具体化し、また、必要な要素を導きだすことで、不安や悩みの解消につながります。
また、外部のコーチングサービスを利用する場合、専門家であるコーチに守秘義務を負ってもらうことが一般的です。
利害関係のある人には話せない悩みや不安を共有できるため、ストレスやプレッシャーも軽減できるでしょう。
今後の明確な目標やキャリアビジョンが定まっていない
「特に目標はないから、コーチングを受ける必要はない」と考えるビジネスパーソンは少なくありません。
しかし、時間・資金の少なさなどを背景に、やりたいことを諦めてしまっていたり、諦めてはいないものの妥協した選択をしていたりするケースが多いようです。
つまり、実はやりたいことや目標があるにもかかわらず、それが明確になっていない・無意識に目を背けている可能性があるのです。
もしくは、目標があることによるメリットを感じていなかったり、コーチングでは解決しないと思っていたりする場合もあるでしょう。
コーチングでは、質問や傾聴のプロであるコーチとの対話を通じて、無意識に諦めていた「やりたいこと」や、現状に対する「不満」などを自覚できるようになります。
そのため、現時点で目標が定まっていない方でも、「自身のやりたいことを実現する」もしくは「不満を解消する」ことに直結する目標が明確となるでしょう。
強みや得意分野が不明瞭となっている
自らの強みや得意分野を自覚することは中々困難です。強みだと思っていた能力やスキルが実はそうでなかったり、逆に当たり前にこなしていたことが強みや得意分野だったりすることは往々にしてあるためです。
一方でコーチングの技能を専門的に学んだコーチは、自身・他者、過去・現在など様々な視点からの質問や、内省を促すような質問を行うことで、受ける側に対して自らの強みや得意分野の自覚を促すことが出来ます。
そのため、コーチからの質問を受ける過程で、自らの強みや得意分野が明確となるでしょう。
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コーチングサービスの選び方
サービスによってコーチングの内容や質などは異なるため、選び方を間違えると、想定していた効果を得られなかったり、費用対効果が悪く後悔したりする可能性があります。
こうした事態を回避するには、以下5つのポイントを押さえた上でコーチングのサービスを選ぶことが重要です。
- コーチの経歴や特徴、資格を入念に確認する
- 自分自身が達成したい目標や目的に応じてサービスやコーチを選ぶ
- 信頼関係を築くことができるコーチを選ぶ
- サービスの内容と価格を比較する
- 自身の状況に応じて、サービスを受ける形式を選ぶ
以下では、具体的な選び方のポイントをくわしく解説します。
コーチの経歴や資格を入念に確認する
資格や実務経験がなくても、プロのコーチを名乗ることは可能です。
また、コーチングに関する資格はたくさんあり、ものによって専門性の高さや難易度は異なります。加えて、同じ資格を持っているプロコーチでも、実務経験の度合いは異なるでしょう。
つまり、コーチによってコーチングの質には雲泥の差が生じるのです。
経験数(セッション量)が浅いコーチや、資格を有していないコーチの場合、クライアントの気づきや内省につながる質問や傾聴などを的確に行えない傾向があります。
そのため、コーチングを受けても十分な効果を得られない可能性があるため注意が必要です。
上記の事態を避けるためにも、コーチの経歴や保有資格を確認し、十分なスキルや実績を有するプロコーチを選ぶことがおすすめです。
自分自身が達成したい目標や目的に応じてサービスやコーチを選ぶ
コーチングのサービスは、主婦や学生などの幅広い人を対象とした「ライフコーチング」や、経営陣や経営者候補を対象とした「エグゼクティブコーチング」など、受ける対象によって複数の種類に分けられます。
たとえば経営陣が組織の課題解決を目的としたコーチングを受ける場合は、エグゼクティブコーチングを得意とするコーチを選ぶことが最適です。
エグゼクティブコーチングを得意とするコーチは、ビジネスに関して比較的深い知見(専門用語やビジネスモデルなど)を有しています。
そのため、円滑な対話を通じて、課題解決や目標達成に役立つ考え方や視点に気づける可能性が高いと言えます。
とはいえ、経営陣の課題解決でライフコーチングやビジネスコーチングが役に立たないということではありません。
対話を通じた内省により、課題解決につながる考え方・視点を得ることは可能です。
ただし、経営陣がライフコーチやビジネスコーチングを選んだ場合、コーチとの間でビジネスにおける知識や言語にギャップがあり、受ける側のペースでセッションを進めることができず、違和感を感じる恐れがある点には注意が必要です。
コーチングを受ける際には、自身が達成したい目標・目的に応じてコーチを選びましょう。
信頼関係を築くことができるコーチを選ぶ
コーチを信頼できると思えるかどうかは、経歴・実績や自身の目標・目的を基準にすることと同じくらい重要です。
実績ばかりを重視して信頼できないと感じるコーチを選ぶと、本音ベースで悩みや不安を打ち明けにくくなります。
また、コーチとの間で円滑にコミュニケーションを取ることも難しくなるでしょう。
踏み込んだ話をスムーズに行えないため、コーチングを受けても課題解決や目標達成に役立つ考え方や知識を導き出せない可能性が高まってしまいます。
こうならないためにも、信頼できるコーチを選ぶことは最優先となります。
ただし、何を持って信頼できるかどうかと思うかは人それぞれであり、またホームページなどの情報で断片的に判断することは難しいです。
したがって、多くの場合は体験セッションを受けることができますので、実際にセッションを受けた上で、信頼できると思えるコーチかどうかを判断することが重要です。
信頼関係を築けていると感じる要素(話しやすさなど)を持っているかどうかで、実際に依頼するコーチを選ぶと良いでしょう。
特に経営陣やマネージャーの場合、悩みが会社の機密情報に直結しているケースが少なくありません。
そのため、守秘義務を負ってくれる外部のプロコーチを選ぶことも重要となるでしょう。
サービスの内容と金額を比較する
サービスの内容(クオリティやサポート範囲など)が優れていても、競合他社と比べて極端に金額が高い場合、費用対効果は思ったよりも低くなる可能性があります。
反対に、料金が安くてもサービスの質が悪い(コーチの実務経験が非常に浅いなど)と、時間や費用は無駄となってしまうでしょう。
したがって、サービスの内容と金額を比較し、費用対効果の高いコーチングを受けることが重要です。
そのためには、サービスの品質を競合他社と客観的に比較することと、サービスごとの料金相場を知ることが重要です。相場については後ほどくわしく解説します。
自身の状況に応じて、サービスを受ける形式を選ぶ
どこで受けるかという視点で見た場合、コーチングのサービスは「オンライン上でセッションを受けるもの」と「実際にコーチと対面でセッションを受けるもの」の2種類に大別されます。
形式によってメリットやデメリット(注意点)は以下のとおり異なります。
オンライン | 対面 | |
---|---|---|
メリット | • 場所に縛られない • スケジュールを調整しやすい |
• 円滑にコミュニケーションを行える • コーチの人間性を知った上で、安心して受けることができる |
デメリット | • 通信環境が悪いと円滑にコーチングを受けられないリスクがある | • 一定の時間だけ同じ場所に拘束されてしまう • オンラインと比較して費用が高い傾向がある |
重要なのは、自身の働き方やスケジュールに応じて、継続的に受けることが可能な形式を選ぶことです。
たとえば日々の業務が忙しく、定期的に同じ場所に行くことが難しい方の場合は、オンラインの方が適しているでしょう。
一方で、実際に会って話した方が安心できるなどの理由がある方には、対面のサービスがおすすめです。
近年はオンライン上でコーチングを受けることが主流になりつつあります。
「対面でないとコミュニケーションを取りにくいのでは?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、オンライン上でも十分にコミュニケーションを取ることや、信頼関係を構築することは可能です。
スケジュールを調整しやすいなどのメリットがあるため、基本的にはオンラインでコーチングを受けることをおすすめします。
コーチングを受ける際の流れ
外部コーチと実際にセッションを行う当日は、以下の流れでコーチングを受けます。
以下では、流れに沿ってコーチングのセッションで行うことを具体的に紹介します。
手順①:アイスブレイク
コーチングでは、いきなり本題に入る前に、軽い世間話やその時に感じていることを口に出す作業(チェックイン)などを行うことが一般的です。
こうしたプロセスを最初に経ることで、コーチとの間で話しやすい環境を整えることができます。
また、セッションに集中できる効果も期待できます。
なお、2回目以降に行うセッションの場合は、前回セッションの振り返りを行うことが一般的です。
手順②:目標・ゴール設定(理想の確認)
アイスブレイクが完了したら、いよいよ本格的にコーチングが始まります。
まずは、コーチングを受ける目的を確認し、具体的な目標やゴールを設定します。
簡単にいうと、その日に行うセッションのテーマを決めるプロセスです。
たとえばマネージャーであれば「リーダーシップの強化」、経営陣であれば「消極的な組織風土の改善」などの目標が考えられるでしょう。
目標については、「何をしたいのか」や「どのような自分でありたいか」といった視点から決めると良いでしょう。
また、目標を設定する際には、目標を実現したい理由や達成するメリット、目標達成を測る基準なども明確化することが重要です。
理由やメリットを明確化することで、受ける側はより深く内省できるようになるため、コーチングの効果が高まります。
また、基準が明確化されることで、コーチングの効果を的確に把握しやすくなるでしょう。
手順③:現状の明確化
次に、現時点の状況を把握する流れとなります。
具体的には、自身の置かれている状況や不安・課題に感じていること、目標達成の進捗度合いなどを明確化します。
コーチとの対話を通じて現状を明確化することで、これまで自分自身が気づくことのできなかった不安や課題、状況を自覚できます。
また、客観的に現状を顧みることで、これ以降のプロセス(ギャップ認識や行動プランの策定など)を効率的かつ的確に行えるようになるでしょう。
手順④:現状と理想の間にあるギャップの認識
現時点で置かれている状況と達成したい目標(理想)の間に、どのようなギャップがどの程度あるかを認識するプロセスです。
たとえば以下に挙げたような問いに内省することで、現状と理想のギャップを認識していきます。
- 理想とする状態を100点だとした場合、現時点では何点くらいか
- どのような理由から理想とする状態に到達できていないか
- 何が理想の状態に到達する上で障壁となっているか
つまり、コーチとの対話を通じて、理想の状態に到達できない要因や背景、障壁などを認識するのです。
目標を「主体的に考え、行動する社員を増やし、業績を回復させる」、現状を「消極的な社員が多く、それが原因で顧客満足度や売上が低迷している」と仮定した場合、受ける側は以下のような内省を行い、現状と理想のギャップを認識していきます。
- 現状の点数→20点
- 消極的な社員が多い理由→「経営者のワンマン体制」、「仕事に対する自己決定感がない」、「経営方針や業務のやり方に納得が行かない」など
- 何が理想の状態に到達する上で障壁となっているか→トップダウン方式の組織体制、経営者自身が有する過去の成功体験など
手順⑤:理想に到達するために必要な要素の洗い出し
現状と理想の間にあるギャップを認識したら、ギャップを解消する(=理想に到達する)ために必要となる要素を洗い出します。
簡単にいうと、理想に到達するために行うべき施策を明確にするのです。
前述の例だと、経営方針や業務プロセスを検討する会議に、現場で働く社員に参加してもらうといった施策が考えられます。
または、経営者自身が過去の成功体験を隅に置き、社員に対して指示を出す頻度を減らすように、考え方を改めることも効果的でしょう。
理想と現実の間にあるギャップから考えることで、やるべき施策を的確に洗い出すことができるのです。
手順⑥:具体的な行動プランの策定
必要な要素を洗い出したら、それを具体的な行動プランに落とし込みます。
コーチングの効果を得るには、ただセッションを受けるだけでなく、具体的に行動に移すことが不可欠です。
しかし、必要な要素を洗い出すだけでは、何をどのように行うべきかが明確になっていないため、行動に移さずに時間だけが過ぎるおそれがあります。
したがって、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように行うか)が明確になっている具体的な計画を策定することが重要です。
以上でコーチングの流れは完了であり、策定したプランを実行する流れとなります。
なお、コーチングのセッションは1回きりではなく、継続的に受けることが基本です。
継続的にコーチングを受けて、効果を検証したり必要に応じて計画を修正したりすることが、コーチングの効果を最大化するポイントとなります。
コーチングを受ける際にかかる金額
この章では、コーチングを受ける際にかかる金額について解説します。
ジャンルや場所、時間などによって金額は変わってくる
専門コーチによるサービスを利用してコーチングを受ける際には、ジャンルや場所、時間などの条件によって費用は変わってきます。
ジャンルを例に取ると、主婦や学生を対象としたライフコーチングと比べて、管理職などのビジネスパーソンを対象としたビジネスコーチングやエグゼクティブコーチングの方が、コーチに求められる専門性が高いため、費用の相場は高い傾向があります。
加えて、メールでの質問などのサポートに関して、料金に含まれているかどうかもサービスによって異なります。
コーチングを受けたいと考えている方は、まず自身が受けるジャンルや希望の条件(場所や時間など)を明確にした上で、そのジャンル・条件に合致するサービス内で比較し、費用対効果の高いサービスを選びましょう。
【ジャンル別】コーチングの相場
「誰がコーチングの対象となるか」という視点で見ると、コーチングは「ライフコーチング」、「ビジネスコーチング」、「エグゼクティブコーチング」などのジャンルに分けることができます。
ここでは、上記3種類のジャンルに分けて、コーチングのサービスを受ける際にかかる相場を紹介します。
ライフコーチング
ライフコーチングとは、主婦や学生、ビジネスパーソンなど、コーチングを受けたいすべての人を対象とするものです。
取り扱うジャンルは、人間関係や日々の生活、仕事など多岐にわたります。
ライフコーチングを受ける際にかかる費用の相場は、数千円〜3万円/時間です。
一般的に、コーチングのサービスを受ける際には、6ヶ月から1年ほどの期間で計10回前後のセッションを受けます。以上より、合計で5万円〜30万円の費用がかかります。
ビジネスコーチング
ビジネスコーチングとは、ビジネスパーソンを対象とするものです。
取り扱うジャンルは、「ビジネスにおける目標達成」や「業務に関係する能力向上」、「キャリアプラン」などです。
管理職(マネージャー)がビジネスコーチングを受ける際にかかる費用の相場は、5万円〜10万円/時間です。契約中に10回のセッションを受ける場合、合計で20万円〜50万円の費用がかかります。
エグゼクティブコーチング
エグゼクティブコーチングとは、経営陣や経営者候補などを対象とするものです。
取り扱うジャンルは、「組織の成長」や「会社・事業が抱える課題解決」、「経営ビジョンや戦略」など、事業の成功や会社の成長との関係性が高い内容です。
エグゼクティブコーチングを受ける際にかかる費用の相場は、10万円〜20万円/時間です。契約中に10回のセッションを受ける場合、合計で50万円〜200万円の費用がかかります。
ある程度はコーチの能力が金額に反映されている
ジャンルや場所などの条件が同じでも、サービスの運営会社やプロコーチによって設定している料金は異なります。
一概には言えないものの、実務の経験が浅い方は安めの料金設定を行い、実績や自信、スキルが付くにつれて料金を上げる傾向があります。
したがって、ある程度はコーチの能力が料金設定に反映されているという前提で、サービスを選んでも問題ないと言えます。
特に近年は、コーチング資格を取得する条件として、「一定時間以上のセッション経験があること」を設定している団体があります。
そのため、経験や知識がほとんどないコーチが、資格取得に必要な時間を稼ぐために相場よりも大幅に安い価格でサービスを提供しているケースも少なくありません。
「できるだけ安い方が良い」という理由で選ぶと、経験(セッション量)や実績が少ないコーチのセッションを受けることになってしまい、結果的にコーチングを受けても十分な効果を実感できないおそれがあります。
時間や費用を無駄にしないためにも、料金の安さではなく、サービス内容や実績・質を基準にコーチを選ぶことがおすすめです。
コーチングを受ける場所・所要時間・頻度
日々忙しい経営陣やマネージャー、ビジネスパーソンにとって、コーチングを受ける場所や所要時間、頻度は非常に気になる部分でしょう。
この章では、一般的なサービスを基準に、場所・所要時間・頻度をお伝えします。
場所
オンラインのコーチングサービスを利用する場合、好きな場所でセッションを受けることができます。
基本的には、周りの目を気にせずに集中できる点で自宅がおすすめです。
一方で対面形式のコーチングサービスを利用する場合、カフェや会議室、ホテルラウンジなど、落ち着いた静かな場所でセッションを受ける場合が多いです。
具体的な場所に関しては、受ける側の希望とコーチが住んでいる場所などを基に決定します。
オンライン(自宅)の場合、移動の手間を削減できる点やスケジュールを柔軟に調整できる点、周りの目を気にせずコーチングに集中できる点などがメリットです。
一方で対面形式の場合、実際に会って対話したい方に適している点、通信環境などに左右されずにコーチングを受けることができる点などがメリットとなります。
どちらも一長一短ですので、自身のスケジュールや好みに応じて選びましょう。
所要時間
コーチングのセッションは、1回あたり40分〜90分で行われるケースが多いです。
「重要なテーマを取り扱うのに、短すぎるのではないか」と思う方もいらっしゃるでしょう。
しかし、精神科医の樺沢氏によると、人が深く集中できる時間は15分、一般的に集中できる目安は45分、最大で集中できる時間は90分とのことです。[1]
そのため、90分以上の時間を設定しても徐々に集中力が切れてしまい、コーチングの効果が薄れてしまう可能性が高いでしょう。
以上より40分〜90分という時間設定は、集中してコーチとの対話や内省を行える点で理にかなっていると言えます。
頻度
コーチングは、全10〜12回前後のセッションを月1〜3回に分けて行うケースが一般的です。
忙しい月や十分に自身で課題を解決できるようになった場合、コーチと相談して頻度を減らすことは可能です。
反対に、悩みの深刻度や切迫度が高い場合などは、頻度を増やす場合もあります。
一般的には、月1〜3回のセッションを数ヶ月続けることで、目標に近づいた感覚や能力が向上した感覚などを徐々に得られます。
ただし、コーチングではコーチとの対話を通じて、受ける側が自ら課題解決や目標達成に役立つ考え方や知識を見つけていきます。
そのため、効果が出るまでの期間には個人差があり、半年くらいでは十分な効果を実感できない可能性もあります。
効果を実感できない場合は、必要に応じてコーチングを受ける期間を延ばすことや、コーチを変えることがおすすめです。
コーチングの効果は継続することで得られるため、続けることで徐々に目標に近づく感覚を得やすくなるでしょう。
[1]脳のパフォーマンスを最大まで引き出す 神・時間術(Amazon)
コーチングを受ける意味・メリット・効果
経営陣やマネージャーなどのビジネスパーソンにとって、コーチングを受けるメリット・効果は主に以下の5点です。
- 目標達成や課題解決にに役立つ考え方や視点を増やすことができる
- 自発性や思考力が高まり、自走しながら成果を出し続ける能力が身に付く
- 自身の可能性や強みに気づくことができる
- コミュニケーション力やマネジメント力、リーダーシップが向上する
- 悩みや不安を共有し、ストレスやプレッシャーを軽減できる
以下では、各メリット・効果をくわしく解説します。
目標達成や課題解決に役立つ考え方や視点を増やすことができる
前述のとおり、コーチングでは現状と理想の間にあるギャップを洗い出し、理想に到達するまでにすべきことを明確にしていきます。
自身や置かれた状況を客観視しながらすべきことを明確化するため、効率的かつ的確に「自分にとって役立つ考え方や視点」を増やすことが可能です。
それにより、自分らしい意思決定を行えるようになります。
特にコーチングは、自身で悩み続けても中々目標を達成できない場合に効果的です。
たとえば、以下の要因から目標達成に役立つ考え方や視点に気づく・実行することができない状態に陥る場合があります。
- 自分自身が本音に気づいていないため、本当に達成したい目標が見つかっていない
- 原因などは分かっているものの、具体的にどのような行動をすべきかが分からない
コーチングを受けると、コーチからの質問を受けて自身を客観的に見つめ直し、本当の意思や希望を明確に認識できます。
また、客観的に情報を整理することで、やるべきことを明確にしたり、自身の本心に基づいて従来は思いつかなかった第三の選択肢を探したりできます。
そのため、前述した2つの要因で目標達成に役立つ考え方や視点が見つからずに悩んでいる方でも、コーチングを受けることで目標を達成しやすくなるでしょう。
また、目標やその達成に必要な計画を他人に押し付けられることがなく、自ら決定できます。
モチベーションが高い状態で目標達成に取り組めるため、途中で挫折してしまうリスクも軽減できるでしょう。
自発性や思考力が高まり、自走しながら成果を出し続ける能力が身に付く
コーチングのメリットは、単純に目の前の目標や課題を達成・解決できることに留まりません。
コーチとの対話では、アドバイスや指示などを与えられることがないため、自身の頭で目標達成に必要となる考え方や視点を見つける必要があります。
そのため、コーチングを継続的に受けることで、自発性や内省力、メタ認知力が高まります。
自発的に行動する力や、物事を客観的かつ的確に捉える思考力が身に付くことで、コーチの力を借りなくても自力で成果を出し続ける能力を身につけることが可能です。
実際、Wasylyshynが発表した論文によると、コーチングを受けることで「持続的な行動の変化」が効果として期待できることが明らかとなっています。[2]
つまり、コーチングが終了した後も、自身の力で目標達成や課題解決できるようになると言えるのです。
目標(売上増加や新規事業の成功など)を達成できる力が身につく点は、長期的に見て大きなメリットと言えるでしょう。
自身の可能性や強みに気づくことができる
実務経験を積んだプロコーチは、常にクライアントの可能性に着目しながら対話を行います。
具体的には、クライアントが自身の強み(能力や性格等)を認識できるように、質問や傾聴を行います。
そのため、プロコーチからのコーチングを受けることで、自覚していなかった可能性や強みを知ることになります。
自らの長所や目標達成に直結する強みは、マネジメントや新規事業、営業活動などに活用できます。
強みを最大限発揮すれば、業務のパフォーマンスや会社全体の業績を向上させることができる可能性があるでしょう。
コミュニケーション力やマネジメント力、リーダーシップが向上する
コーチとの対話を通じて組織内の関係性を深堀りすることで、組織内のメンバーに対して最適と考えられる行動をとることが可能となります。
また、周囲に対してもコミュニケーションなどの面で良い影響を及ぼすことが可能です。
その結果、コーチングを受ける人のコミュニケーション力が向上します。
加えて、組織内のコミュニケーションも円滑となります。
実際、NataleとDiamanteが発表した論文によると、コーチングを受けることで組織内のコミュニケーションが円滑になることが実証されています。[3]
また、自身のマネジメントや社員への接し方などを客観視し、部下や社員への接し方や考え方を改善することで、マネジメント力やリーダーシップの向上も期待できます。
リーダーシップの向上についても、前述したWasylyshynの論文で効果が実証されています。[2]
加えて、コーチングのスキル(傾聴や質問)をマネジメントに活かすことで、より強力にマネジメントやリーダーシップの発揮を行えるようになるでしょう。
悩みや不安を共有し、ストレスやプレッシャーを軽減できる
組織運営や経営、マネジメントなどの課題に悩まされている経営者や管理職は少なくありません。
ですが、経営戦略や営業秘密などに該当する悩みが多いため、気軽に他人に相談できないケースが大半です。
一方で外部のサービスを利用してコーチングを受ける際には、事前にコーチとの間で守秘義務契約を締結することが一般的です。
また、契約で締結するかどうかに関係なく、原則としてコーチは倫理規定で守秘義務を課せられています。
そのため、情報の漏えいを心配することなく、ご自身の悩みや不安を聞いてもらうことができます。
また、社内の人材や利害関係者でないため、自身の行動や考え方に対して批判を受ける心配もありません。
悩みや不安をコーチに聞いてもらうことで、ストレスやプレッシャーを軽減できます。
明るい気持ちで日々の事業活動やマネジメントに取り組めるようになるため、パフォーマンスの向上も期待できるでしょう。
[2] Executive Coaching: An Outcome Study(Wasylyshyn)
[3] The Five Stages of Executive Coaching: Better Process Makes Better Practice(Natale and Diamante)
実際にコーチングを受けたビジネスパーソンの事例・感想
最後に、実際にコーチングを受けたビジネスパーソンの事例と感想を紹介します。
実際にコーチングを受けた人の感想を知ることで、具体的な効果に対する理解を深めることができるでしょう。
コーチングを受けるかどうか悩んでいる経営陣やマネージャーの方、社内の人材育成手段として導入を検討している人事担当者の方はぜひ参考にしてください。
パナソニック株式会社における事例
パナソニックでは、マネジメント層が抱える悩みや思考を整理し、各人材がリーダーシップを発揮できるようになることを目的にコーチングを導入しました。[4]
実際にコーチングを受けたのは、同社の部長や課長です。
コーチングを導入したことで、同社には以下のメリットがもたらされました。
- 自信を持つ社員の増加、行動スピードの向上
- マネジメント層によるリーダーシップの発揮
- チーム全体の雰囲気改善
また、コーチングを受けた社員からは、下記の感想が寄せられました。
- 部下に対して自信を持って思いを伝えられるようになった
- 迷いが減り、行動のスピードが上がった
- メンバーや学生の話を聞くスキルが向上し、採用力が向上した
株式会社メルカリにおける事例
メルカリでは、社員のエンゲージメント強化を目的にコーチングを導入しました。[4]
実際にコーチングを受けたのは、同社の執行役員やマネージャー層の人材です。
コーチングを導入したことで、同社には以下のメリットがもたらされました。
- 組織内のパフォーマンス向上
- 問題解決への前向きな姿勢の形成
- 自己認知力の向上、思考の柔軟化
また、コーチングを受けた社員からは、下記の感想が寄せられました。
- アクションが明確となり、パフォーマンスがぐっと上がった
- コミュニケーションに一貫性が出た
- 問題解決への姿勢が前向きになった
- 振り返りサイクルによってストレスが軽減した
- コミットメントを引き出してくれた
まとめ
現状に悩みを抱えている経営者やマネージャーの方にとって、コーチングを受けることは悩みの解決を実現する手段となります。
また、自身で気づいていない自らの強みや可能性を見つけることができる可能性もあります。
今回紹介した流れやメリット、事例を参考に、コーチングを受けることを検討してくださると幸いです。